- カテゴリー集中度は、定義したサンプル内で各カテゴリーが占めるASIN件数割合として計算する
- 調査対象の店舗ID・取得日・カテゴリー階層・親子ASINの数え方を固定する
- 「商品所属カテゴリ」「新商品所属カテゴリー」「総商品数」の対象範囲を混同しない
競合のAmazon店舗を見て、「このセラーは特定のカテゴリーに強いのか、それとも幅広い商品を扱うのか」と考えたことはありませんか。見かけ上の品揃えから印象を決めるのではなく、観測した商品のカテゴリー別ASIN件数と構成比を整理すると、競合の注力ジャンルを比較しやすくなります。
ただし、Amazon店舗の全商品数と、分析ツールが取得した商品の件数は同じとは限りません。本記事では単一セラーの観測サンプル内でのカテゴリー集中度を扱い、市場全体のブランド集中度、売上シェア、ブランド所有関係とは分けて解説します。

1.競合ストアのカテゴリー集中度とは?
このページでいうカテゴリー集中度は、対象店舗について収集した商品サンプルのうち、特定カテゴリーが占めるASIN件数の割合です。例えば50件の分析対象のうち生活雑貨が32件なら、生活雑貨の構成比は64%です。
これをAmazon全体のカテゴリー集中度、カテゴリー内のブランド集中度、販売元の市場シェアと同じ指標として使わないでください。販売額・注文数・利益の構成は、商品件数だけでは分かりません。
| 似た用語 | 対象・分母 | 何を表すか |
|---|---|---|
| 店舗のカテゴリー構成比(本記事) | 一つのセラーから取得した対象ASIN | そのサンプルにおける商品のジャンル偏り |
| 市場のブランド集中度 | 特定市場・サンプル内の商品または売上等 | その市場でブランドが占める割合 |
| 新商品カテゴリー構成 | 設定期間内に観測した新商品 | 新商品が投入されたジャンルの偏り |
| ブランド所有関係 | 商標や法人・許諾等の権利情報 | 誰がブランドを保有するか。商品構成だけでは判断不可 |
市場そのものの競争構造を調べるにはAmazon市場分析・競合分析の完全ガイドを参照してください。この記事の集計単位は一店舗です。
2.集計する前にサンプルの範囲を固定する
SellerSpriteの店舗新商品モニタリングの機能ガイドでは、カテゴリーに関係する複数の指標が説明されています。同じ店舗データでも、項目によってサンプルの範囲が違う点に注意します。
| ツールで扱う項目 | 対象範囲の説明 | 分析上の扱い |
|---|---|---|
| 総商品数 | Amazon上位30ページに表示される当該店舗の商品数として案内 | 店の全量と断定しない |
| 商品所属カテゴリ | 当該店舗の商品からレビュー数上位100の商品が属するカテゴリー | レビュー上位商品の品揃え構成の参考 |
| 新商品所属カテゴリー | 同店舗が直近60日以内に発売した商品を主に分類したカテゴリーと件数 | 直近新商品だけのジャンル構成 |
| 自分で抽出したASIN一覧 | 対象画面・時点・抽出条件を固定した任意サンプル | サンプル内件数比率を再計算可能 |

例えば「レビュー上位100商品における生活雑貨の比率」と「直近60日の新商品における生活雑貨の比率」は、対象期間も抽出基準も異なります。同じ時系列グラフにして「店舗全体の集中度が上昇した」と断定するのは避けます。
機能画面の表示項目・集計仕様は変更される場合があります。公開前には実画面と機能ガイドを照合し、観測データの範囲を記事内で明示してください。
3.カテゴリー分析を行う6ステップ
- セラーを特定:Amazon商品ページの販売元から店舗ID・対象ストアURLを記録し、同名の別セラーを混同しない。
- 取得日と商品範囲を決める:レビュー上位商品、直近60日の新商品、独自に抽出した対象ASINのどれを分析するか決める。
- カテゴリーの階層を統一:大分類か小分類かを固定し、同じ名称でも異なる階層の分類を混在させない。
- ASINの重複を点検:親ASIN基準か子ASIN基準かを決め、バリエーションの重複計上を避ける。
- カテゴリー別件数を集計:原則として今回採用した分類ルールに従い、各ASINを一つの分析カテゴリーに割り当てる。
- 構成比を計算・比較:件数÷対象ASIN総数を計算し、対象範囲・期間・基準を保存する。
商品によって複数カテゴリーに属するように見えるケースでは、分析目的に合わせた「主カテゴリーを一つ決める」などのルールを明文化します。一つの商品を重複集計した場合、件数の合計が母数と一致せず、構成比が100%を超えることがあります。
店舗の見つけ方や商品ラインナップの調査については競合ストア分析による商品リサーチで解説しています。本記事ではその次の「カテゴリー別件数の集計」に焦点を当てます。
4.架空例:50ASINのカテゴリー構成比を計算
ある競合セラーから分析対象の50ASINを取り出し、同じ階層のカテゴリーへ割り当てたとします。以下は説明用の架空データであり、実在店舗の調査結果ではありません。
| カテゴリー | 対象ASIN件数 | 構成比 | 算式 |
|---|---|---|---|
| 生活雑貨 | 32件 | 64% | 32÷50×100 |
| キッチン用品 | 10件 | 20% | 10÷50×100 |
| アウトドア | 5件 | 10% | 5÷50×100 |
| その他 | 3件 | 6% | 3÷50×100 |
| 合計 | 50件 | 100% | — |
最上位カテゴリー比率と上位2カテゴリー比率
最上位カテゴリー比率は32÷50=64%、上位2カテゴリー比率は(32+10)÷50=84%となります。この数字は「今回観測した50件では、特定の2ジャンルの商品数が多い」ことを示します。売上の84%を占めるという意味ではありません。
集中度が高い=良いストアとは限らない
カテゴリーが集中している店は専門性が高い可能性がありますが、その結果だけでブランド力・収益力は分かりません。低集中の店も、複数ジャンルに投資する戦略か、単なる試験販売かを商品履歴や実績と合わせて解釈します。
5.直近60日の新商品カテゴリーは別に分析する
同じセラーについて、新商品として観測した12商品が「生活雑貨4件、キッチン用品6件、アウトドア2件」だったとします。構成比はそれぞれ約33.3%、50.0%、16.7%です。
| 対象 | 生活雑貨 | キッチン用品 | アウトドア | その他 |
|---|---|---|---|---|
| 観測対象50ASINの構成 | 64% | 20% | 10% | 6% |
| 直近60日新商品12件の構成 | 約33.3% | 50.0% | 約16.7% | 0% |
新商品の50%がキッチン用品という状況は、同ジャンルの投入が目立つという追加調査の仮説になります。しかし、観測対象50ASINの分類と直近60日新商品にはサンプル差があるため、この表だけで既存在庫の構成や実際の売上戦略が変わったと断定できません。
判断を補うには、新商品の価格帯、レビュー獲得の動き、関連市場の需要変化を確認します。需要が伸びていない商品数の増加は、それだけでは市場機会の証拠になりません。
6.SellerSprite店舗新商品モニタリングの活用手順
SellerSpriteの店舗新商品モニタリングでは、対象セラーの直近7・15・30・60日の新商品、所属カテゴリーなどを確認できます。ログイン後の利用画面と公式機能ガイドを参照してください。
- 追跡対象セラーの店舗IDを特定する。
- 観測できる商品の総数、商品所属カテゴリー、新商品所属カテゴリーを分けて記録する。
- 調査日と対象期間を保存し、各カテゴリーの商品件数を集計する。
- レビュー上位商品と新商品の件数を同じ分母に混ぜず、別々に構成比を求める。
- 必要に応じて市場リサーチで該当ジャンル全体の需要・競争を確認する。
「市場リサーチ」のブランド集中度は、特定市場のサンプルを対象とした指標であり、個々のセラーのカテゴリー別ASIN件数とは異なります。補助指標として利用しても、同一の数値として比較しないでください。
7.誤判定を防ぐ5つのチェックポイント
- 全量と取り違えない:検索結果やレビュー上位の対象範囲を店全体の総商品数と断定しない。
- 親子ASINの重複:容量やカラー違いを個別商品として数えるか、グループで数えるかを固定する。
- カテゴリー階層の不一致:生活用品とその下位ジャンルを同一階層で重複集計しない。
- 新商品の定義:直近60日と直近7日、初出品日とページ登録日などの違いを確認する。
- 所有・売上の誤認:一つのブランドが多いことは自社ブランド保有や売上独占の証明ではない。
カテゴリースコープを変更した回と前回を直接比較すると、順位が変わったように見える場合があります。「同一抽出条件・同一階層・同一ASIN単位」の原則を守りましょう。
8.分析結果を商品開発・競合比較に活かす
集計後は、カテゴリー比率だけをレポートの結論にせず、次に調べるテーマへ落とし込みます。
| 観測した特徴 | 次に確認すること | 避けたい飛躍 |
|---|---|---|
| 主力カテゴリーの比率が高い | 価格帯・シリーズ展開・レビュー分布 | そのカテゴリーで高い売上があると断定 |
| 新商品が特定ジャンルへ集中 | 新商品の発売時期・価格・評価の推移 | 販売戦略が成功したと断定 |
| 複数ジャンルへ広く展開 | 仕入れ特性・配送方式・在庫回転 | 無計画な転売店だと決めつける |
| 対象カテゴリーで高評価商品が少ない | 市場需要とレビュー・競合データ | 競争が弱いと即断 |
分析記録は「調査日/店舗ID/対象期間/親子ASIN基準/カテゴリー階層/各カテゴリー件数/集計式/判断保留」の列で管理します。市場全体の変化を合わせて見たい場合はAmazon市場分析・カテゴリー分析の週次チェックリストも活用してください。
9.よくある質問
Amazon競合セラーの主力カテゴリーはどう調べますか?
対象セラーから商品サンプルを収集し、同一階層のカテゴリーに分類してASIN件数を集計します。どの範囲の商品を観測したか必ず明記してください。
カテゴリー集中度は何%以上なら高いですか?
Amazonが単一店舗向けに定めた共通の公式基準はありません。自社の分析目的と比較対象に応じて解釈します。
カテゴリー別ASIN比率は売上比率ですか?
いいえ。商品件数の比率は売上額や注文数を示しません。売上を分析するには別のデータと算出方法が必要です。
レビュー上位商品と新商品を合算して構成比を出してもよいですか?
抽出基準と期間が異なり重複の可能性もあるため、原則は別々に集計してください。
複数ブランドを扱うセラーは品類集中度が低いですか?
必ずしもそうではありません。複数ブランドの商品が一つのカテゴリーに集中する場合もあります。ブランドとカテゴリーは別軸です。
10.まとめ
Amazon競合ストアのカテゴリー集中度は、対象のASINサンプル内でカテゴリー別件数を数え、分母を固定して構成比を求めることで比較できます。もっとも重要なのは数字の大小だけでなく、調査対象の範囲を明示することです。
- セラーID・抽出日・カテゴリー階層・ASIN単位を固定する
- 既存商品サンプルと直近新商品を別の母数で集計する
- 最上位カテゴリー比率や上位2カテゴリー比率を計算する
- 結果を市場需要・競合商品の状況と照合して仮説を作る
市場全体の比較に進む場合はAmazon市場分析・競合分析の完全ガイドに戻り、個々のセラー構成と市場全体の集中指標を区別して検討しましょう。

