- FBA・自己発送は「1注文当たりの管理利益」と「在庫を持つ期間」の両方で比較する
- FBAは配送代行料・納品費・保管費、自己発送は送料・梱包・作業費・倉庫費を区別する
- 同じSKUでもサイズ・販売ペース・配送条件次第で適した方式が変わる
Amazonで商品を仕入れる前に「FBAに納品すべきか、自己発送(FBM)にすべきか」と迷うことはありませんか。どちらが有利かは、商品単価だけでは決まりません。梱包後のサイズ・重量、販売速度、保管日数、自社の発送体制を同じ条件で比較する必要があります。
本記事はFBAの仕組みや納品操作の基礎ではなく、選品候補を仕入れる前に配送方式まで含めて採算を判断する方法を扱います。Amazonの最新料金表、料金シミュレーターとSellerSpriteの利益計算機を組み合わせ、比較表と架空例で解説します。

1.選品段階でFBA・自己発送を決める考え方
結論から言えば、小型・軽量で一定の販売回転が見込める商品はFBAの候補になりやすく、自社物流に強みがある商品や大きく保管費の負担が重い商品は自己発送も含めて比較するのが合理的です。ただし、この傾向は一般的な検討の出発点であり、商品ごとの確定的な優劣ではありません。
| 仕入れ前に分ける条件 | FBAを検討しやすい状況 | 自己発送も比較したい状況 |
|---|---|---|
| 梱包後のサイズ・重量 | 該当する配送代行料で採算が合う | 大型・重量物でFBA費が高くなりやすい |
| 販売ペース | 在庫の回転が比較的速い見込み | 需要が不安定・低頻度の注文 |
| 物流体制 | 保管・梱包・発送を外部化したい | 自社倉庫・出荷作業・運送契約を活用できる |
| 顧客が重視する配送条件 | 対象商品のPrime配送等を重視 | 配送日時・梱包形態を独自に管理したい |
| 商品特性・制限 | Amazonの受領・保管条件に適合 | 特殊な保管条件や個別配送が必要 |
自己発送でも配送品質やPrime対応について複数の制度・条件があります。「FBA以外は必ずPrime対象外」「FBAなら必ず売れる」と断定しないでください。商品の出品制限や利用条件はSeller Centralで確認します。
市場ニーズ・競合商品を絞り込む工程はAmazon商品リサーチ完全ガイドで扱っています。本記事では候補商品が決まった後の配送方法判断に絞ります。
2.比較に入れる費用と計算式
FBA・自己発送の比較では、同じ販売価格・原価・期間・税の扱いを設定します。販売手数料は両方式で共通でも、配送関連費用は異なります。
| 費用・条件 | FBAで確認するもの | 自己発送で確認するもの |
|---|---|---|
| 販売価格・割引 | 購入者が支払う商品売上と適用割引 | 送料を購入者に請求する場合の売上も分けて記録 |
| 販売手数料 | 商品カテゴリーに応じた手数料 | 商品カテゴリーに応じた手数料 |
| 発送関連 | FBA配送代行手数料 | 自社・運送会社への送料 |
| 梱包・作業 | 納品用梱包・ラベル作業、納品送料 | 出荷梱包材・ピッキング・梱包工数 |
| 保管 | FBA在庫保管手数料・適用される追加料金 | 自社倉庫賃料・棚費・保管工数 |
| 返品・損失 | Amazon側費用の条件と再販売不可損失 | 返送送料・再梱包・再販売不可損失 |
| 広告・税 | 両方式で同じ仮定または実績を別途加味 | 同じ会計基準で記録 |

概算管理利益=対象期間の売上−原価−販売手数料−各方式固有の物流・保管・返品費用−その他共通費用。単純に「FBA配送代行料」と「自己発送の送料」だけを比較しても、梱包・保管・返品の負担が漏れます。
Amazon公式の料金シミュレーターにはFBAと自社配送を比較する手順が案内されています。手数料や配送条件は改定されるため、固定の金額を公式料金として転記せず、最新の対象商品情報から見積もってください。
3.サイズ・重量・商品特性が判断を変える理由
梱包後のサイズと重量で料金区分が変わる
FBA配送代行手数料は、商品サイズ区分、梱包後の寸法・重量、価格などの条件で決まります。製品本体だけの寸法ではなく、出荷可能な包装状態の数値を確認しましょう。組み合わせ商品や付属品を追加した場合、料金区分が変わることもあります。
保管が長引く商品の費用を分けて考える
在庫が動かない期間には保管費の負担が続きます。FBAでは在庫保管手数料や該当する追加料金、自社発送では倉庫・棚・資金拘束のコストを見積もります。どちらの方式でも「保管費ゼロ」として試算しないことが重要です。
特殊商品では出品・配送条件が優先
危険物、温度管理の必要な商品、サイズ制限が厳しい商品などは、利益が出る計算でも利用できない配送方法があります。Amazonの出品・納品要件、運送会社の条件、梱包安全性を先に調べてください。
4.販売回転率・在庫日数から保管リスクを比較する
月間販売数の推定値だけでは倉庫に置く期間は判断できません。仕入れ数量と販売見込みから、仮の在庫消化日数を計算します。ここでは在庫消化日数=初期在庫÷想定日販とする簡易モデルを用います。
| 候補商品 | 初期在庫 | 想定月販 | 想定日販(30日換算) | 概算消化日数 |
|---|---|---|---|---|
| 候補A:定番小物 | 90点 | 60点 | 2点/日 | 45日 |
| 候補B:季節性の低回転品 | 60点 | 8点 | 約0.267点/日 | 約225日 |
候補Aは回転が速い想定であっても納品のリードタイムや安全在庫が必要です。候補Bは長期保管と値下げ・返品リスクを検討します。どちらも販売予測が一定で続くと仮定した計算であり、売れることの保証ではありません。
補充・在庫記録そのものはAmazon SKU別在庫台帳の作り方で確認できます。配送方式の比較では、想定保管期間が長くなったときの保管コストを再試算します。
5.架空例:小型商品と大型商品で利益を比較
以下は手数料の実額を示すものではなく、選品時の比較表を作るための説明用の架空金額です。表示価格・原価・販売手数料を方式間でそろえ、配送・保管費だけを変更します。広告費・税・設備固定費の一部は含めていないため、会計上の最終利益ではありません。
| 費目(1点当たり) | 小型:FBA | 小型:自己発送 | 大型:FBA | 大型:自己発送 |
|---|---|---|---|---|
| 売価 | 2,480円 | 2,480円 | 3,980円 | 3,980円 |
| 仕入原価 | 700円 | 700円 | 1,200円 | 1,200円 |
| 販売手数料(仮定) | 372円 | 372円 | 597円 | 597円 |
| 配送代行/自己発送送料 | 420円 | 430円 | 1,100円 | 650円 |
| FBA納品費/梱包材 | 35円 | 45円 | 120円 | 80円 |
| 出荷作業費 | 0円(例) | 95円 | 0円(例) | 130円 |
| 保管費配賦 | 24円 | 20円 | 180円 | 100円 |
| 返品等の想定損失 | 29円 | 40円 | 80円 | 90円 |
| 管理利益(概算) | 900円 | 778円 | 703円 | 1,133円 |
小型の候補AではFBAの概算利益が122円高く、大型の候補Bでは自己発送が430円高い計算です。これは各費用の仮定による結果で、小型なら常にFBA、大型なら常に自己発送という意味ではありません。
小型FBA:2,480−700−372−420−35−0−24−29=900円。大型自己発送:3,980−1,200−597−650−80−130−100−90=1,133円。計算時は消費税の扱いを統一し、広告費・自社固定費・返品条件を必要に応じて追加します。
6.SellerSpriteのFBA・FBM利益計算機で試算する
SellerSpriteの利益計算機は「FBA利益計算」と「FBM(第三者)利益計算」のモードを提供しています。選品候補ごとに同じ販売価格と原価を使い、サイズ・重量・配送料・納品送料・広告費・返品率などを入力して、条件別の利益率やROIを比較できます。
- 日本市場を選ぶ:マーケットプレイスと計算方式を確認する。
- FBAモード:梱包後のサイズ・重量、売価、原価、納品費などを入力して試算する。
- FBMモード:同じ売価・原価を使い、自社発送の配送料・対応費等を設定する。
- 不足費用を補完:ツールに入力欄のない自社倉庫費や人件費は別表に加える。
- 再計算:売価下落・在庫滞留・送料上昇の場合も比較し、確認日を保存する。

候補商品の競合価格や推定販売数を集める工程では商品リサーチを利用できます。ただし推定販売数は自社の実受注を保証する数値ではなく、利益計算機の結果も実際のAmazon請求額ではありません。
FBA・FBMの最終比較にはAmazon公式の料金シミュレーターとSeller Centralの適用条件を併用し、ツールに表示されない費用は自社で補足してください。
7.仕入れ判断用チェックシートを作る
一度の利益計算だけで配送方法を決めず、SKU単位で同じ項目を記録します。判断表に残すと、価格変更や追加発注の際に再確認しやすくなります。
| 記録する列 | 記入例 | 確認する目的 |
|---|---|---|
| SKU・商品タイプ・出品可否 | SKU-A/雑貨/確認済 | 販売や納品の前提条件 |
| 梱包後サイズ・重量 | 寸法・重量・更新日 | 物流の料金区分 |
| 想定月販・初回数量 | 60点/90点 | 在庫滞留の推定 |
| FBA:各費用・利益 | 配送・納品・保管・返金 | FBAでの採算 |
| FBM:各費用・利益 | 送料・包装・作業・倉庫 | 自己発送での採算 |
| 発送品質・対応体制 | 出荷期限・繁忙期対応 | 運用可能性 |
| シナリオ | 通常/送料高騰/値下げ | 前提変化への耐性 |
| 判断と再確認日 | FBAを試験/見送り/再計算 | 判断履歴 |
FBAではAmazon側の受領・保管条件を、自己発送では出荷期限・追跡情報・返品対応体制を確認します。コストがわずかに安い方式でも、運営上の要求を満たせなければ採用できません。
8.FBAと自己発送を併用する場合の注意点
配送方式は事業全体で一つに統一する必要はありません。例えば、安定回転品はFBAで販売し、大型で低回転の商品は自己発送で扱うなど、SKU単位で異なる方式を検討できます。
ただし、FBA在庫と自社倉庫在庫は販売可能場所が異なります。補充予定の在庫を販売可能数として二重計上せず、販売チャネル・保管場所・SKUを分けて管理してください。
配送方式の選定を終えたら、仕入れ前の値下げ耐性や広告費まで確認するためにAmazon仕入れ前の採算シミュレーションも参照してください。FBAそのものの仕組み・納品方法はAmazon FBA完全ガイドで扱っています。
9.よくある質問
AmazonではFBAと自己発送のどちらが安いですか?
商品サイズ・重量・送料契約・販売速度・保管期間・作業費によって異なります。Amazon公式料金シミュレーターで商品ごとに両方式の見積もりを比較してください。
小型商品は必ずFBAを選ぶべきですか?
いいえ。小型商品でも低回転や特殊な保管条件では自己発送が有利になる場合があります。商品別に利益と運用条件を比較します。
自己発送はFBAより検索順位が低くなりますか?
配送条件は購入者体験に影響し得ますが、配送方式だけで検索順位を一律に決めることはできません。順位を保証する説明は避けてください。
商品の回転率はどう計算しますか?
想定初期在庫を見込み日販で割り、在庫が何日分に相当するかを概算できます。需要予測が外れる可能性を考慮し、複数シナリオで確認します。
FBAと自己発送を同じ商品で併用できますか?
利用形態・在庫管理・出品設定によって取り扱いが変わります。Seller Centralで対象SKU・オファーの運用条件を確認し、在庫を区分して管理してください。
10.まとめ
FBAと自己発送のどちらが選品に向いているかは、費用・サイズ・回転率・配送品質の4つを同時に比較して判断します。料金だけでなく、納品・作業・保管・返品に伴う費用まで含め、同じSKUの同じ販売条件で比較することが重要です。
- 商品リサーチで候補を絞り、梱包後の寸法と重量を確認する
- 公式料金シミュレーターとSellerSprite利益計算機でFBA/FBMを比較する
- 予測販売ペースと在庫期間を変えて採算を試算する
- 物流品質と出品要件を含めて最終判断を記録する
商品候補探しから比較する場合はAmazon商品リサーチ完全ガイドへ戻り、利益・物流・需要を一体で確認しましょう。
参考資料

